調色・無調色
調色とは何か?
【註:以下の文章で特別限定せずに『真珠』という言葉を使った場合は『あこや真珠』のことです。】
調色のご説明の前に、漂白のお話をします。
ナチュラルグレーやゴールドを除き、ホワイト系の真珠のほとんどは『程度の差こそあれ、真珠は何らかの漂白処理』をされています。
ほとんどの真珠は貝から採り出した時には染みや汚れを持っており、そのままでは宝飾品としての価値が十分に発揮できないため、漂白で綺麗にします。
あこや真珠は本来ほんのりと淡いピンクの光彩を持っているものですが、漂白によってそのピンク味まで漂白されてしまいます。それを補って元の状態に戻してあげる加工が調色です。
調色は物理的には染色に属する加工ですが、真珠の表面に色を着けるのではなく、真珠層内部に染料を浸透させますので、擦ったりして色が落ちることはありません。
(処理の種類としてはエンハンスメントと呼ばれる処理です)
調色によって品質を上げることはできませんので、低品質の真珠が調色で良い真珠のような見た目になるということはありません。
また、調色によって真珠の価値が下がるようなこともありません。
あくまでも元のピンク味を補う加工ですので、調色はその真珠が持つ潜在的な美しさを最大限に引き出します。
品質をごまかすための処理では決してありません。
漂白の程度が劣化の速さに影響する
1.漂白も調色もしていない真珠
2.漂白はしてあるが調色はしていない真珠(無調色)
3.漂白も調色もしてある真珠(一般的な真珠)
一般的に無調色と言われているのは『2.』です。
基本的には『3.』よりも『2.』の方が漂白にかける時間が長いです。
漂白時間が長いと真珠層はそれだけ傷みます。従って経年変化が早く起きます。
ですから、漂白時間が短く無調色のままで綺麗に仕上がったものと、無調色という名前にするために漂白だけで仕上げたものでは同じ無調色でも劣化のスピードが異なります。
お好みの問題ですのでどちらが良い悪いということはないのですが、漂白時間が長い真珠については劣化が早いかもしれないという説明がきちんとある方が親切です。
その辺りの専門的なこともきちんと説明してくれるプロがいるお店で選ぶと間違いないでしょう。
*『1.』はナチュラルブルーやナチュラルゴールドをはじめ、ホワイト系でも珍しくシミや汚れが皆無に近いもの