真珠のキズの程度に関するご説明
真珠のキズの程度についてのご説明
真珠は貝が作り出す宝石ですので、生成過程で何かしらのキズ(エクボや出っ張り)ができてしまうものが大半です。これら生成過程でできるキズを天然キズと呼びます。
評価の際は基本的にはキズの有無ではなく、キズがあることを前提にそれが多いか少ないかで評価していきます。
その多い、少ないというのがどれぐらいの程度なのか分かりづらいと思いますので簡単にご説明します。
宝石業界、真珠業界で国内外を問わず統一された基準はないのですが、ある程度指針となっている基準があります。
それが「AAA-A方式(トリプルエー・エー方式)」と呼ばれるものです。
AAAを最高としてAA、Aと3段階に評価します。3段階では大まかすぎますのでAAでもAAAに近い物をAA+としたりすることもありますが、AAAより上のランクがあってはいけないというのが決まりです。(AAA+という表記はしてはいけません)あくまでもAAAが最高という基準です。
そのAAAの基準は照りが強く、形がラウンド系で、かつ真珠表面全体の95%以上キズがないものと定義されています。
またネックレスの場合は連相を重視するため、キズが多いものを数個含んでも良いとされています。
連相とはネックレスに使われる数十個の真珠の色や照り、巻きなどの統一性、揃い具合のことです。
つまりAAA(真珠表面全体の95%以上キズがない)という基準で組んであるネックレスでも、2~3個は10%程度のキズを持つ珠も含まれていることがあります。
また、特に日本ではネックレスは1珠ずつじっくり見るのではなく、1本のネックレスとして少し離れたところ(最短で約30cm)から見てすぐに目につくキズがあるかどうかというのも1つの基準になっています。
天然キズの例
真珠表面積を分かりやすいように20面体で表したのが下の図です。
キズがうまい具合に一ヶ所に集まっていることはあまりありませんが、全体に散らばっているキズをぐっと寄せ集めたとしてピンク色の範囲に収まればAAAです。ネックレスの場合はそれが黄色の範囲にまで及ぶ珠が数個含まれていることもあります。
ヨコタパールで「着用時に目立つキズがない」という表現をしている物はこの基準です。鑑別書のキズの項目「微」のレベルも概ねこの基準です。決して無傷ではありませんが、そこは貝が育む宝石として寛容に見てあげてくだされば幸いです。
*黒蝶・白蝶真珠は別の基準A-D方式で評価します。AからDまでの4段階で、A(最高ランク)の基準が「真珠表面全体の85%以上キズがないもの」と定義されています。